#KimOhNo で大騒ぎする理由
キム・カーダシアンが自身の下着ブランドに「kimono」という名称を使い、商標登録まで申請して物議を醸している件で、ここ数日私は大騒ぎしているのですが、その理由を記していきたいと思います。
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【2019.07.01 追記】
キム・カーダシアンが自身のTwitterとInstagramアカウントで下着ブランドの名称を再考すると投稿しました。
まだ商標登録取り下げたりという手続きまではしていないと思うので引き続きウォッチし続けたいですが、まずは一歩大きな前進です!
My brands and products are built with inclusivity and diversity at their core and after careful thought and consideration, I will be launching my Solutionwear brand under a new name. I will be in touch soon. Thank you for your understanding and support always.
— Kim Kardashian West (@KimKardashian) 2019年7月1日
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- キム・カーダシアンて誰?
- 炎上商法でしょ?騒いだら負けでは?
- 商標登録されちゃいそうなの?kimonoって一般名詞としてアメリカでも定着しているから通らないんじゃないの?
- 商標登録されたらどうなるの?
- 商標登録されなきゃいいの?
- 今までだって着物業界は何もしてなかったじゃないか。キム・カーダシアンではなくそっちに怒りを向ければ?
- 自分だって普段着物を着ているわけでもないくせに
- じゃあ、どうすればいいの?
- 最後に美しい着物も見てってくださいな
キム・カーダシアンて誰?
アメリカのセレブで実業家の女性です。
カニエ・ウエストの奥さんで、Instagramのフォロワー数1億4000万人超というグローバル的には物凄い影響力がある人です。
日本の総人口よりも彼女のフォロワー数の方が多いのです。
すでにインスタグラムで#kimonoと検索すると、トップの画像はキム・カーダシアン補正下着の画像が出てくるほどです。
彼女は自身の知名度と影響力を活かして、香水やコスメ、ゲームアプリなどの事業を展開し、いずれも大成功を収めています。
しかし一方で、以前も自身のコスメブランドのプロモーションで顔を黒く塗ったメイクを施し、黒人差別ではないかと批判を受けたりしています。
また、1年前にも、最初に「KIMONO INTIMATES(キモノ・インティメイツ)」の名前で商標登録の申請をした時にも批判が殺到していたという経緯があります。
それでも「kimono」という名前で下着ブランドの発表に踏み切ったということは、こうした批判があることも想定した上でやってますよね?と思っています。
さらに日本でG20が開催され、彼女が表紙のVogueが発売になるタイミングでの発表、完全にkimonoの商標登録を本気で狙っていると思います。
炎上商法でしょ?騒いだら負けでは?
確かに彼女はお騒がせセレブなので、お得意の炎上商法なのかもしれません。
でも、それを分かった上で私は大騒ぎしています。
今回も騒動を受けて、キム・カーダシアンはkimono に関して「着物をリスペクトしているが商標登録の申請はやめない。商標登録されても着物をkimonoと呼ぶ事を制限しない」というコメントを出しています。
しかし、一国の民族衣装の総称を使う権利を外国の一個人が管理・許可・独占する事がそもそも大きな問題だと思います。
日本の伝統衣装の「着物」を指すときは「kimono」を使っていいわよ、と言われているわけです。あまりにも日本や着物のことをバカにされています。
日本の伝統衣装の「kimono」とキム・カーダシアン の下着の「kimono」は棲み分けはできるのかもしれませんが、大騒ぎせずに商標登録をすんなり通すということは、民族衣装の総称を一個人が独占することを許すということです。
これが前例になったら、他の民族衣装なども同じことが起きてしまうかもしれません。
だから大騒ぎしているだけに見えても大騒ぎし続けないといけないのです。
世界的なムーブメントにする必要があるのです。
ここで諦めたら彼女の炎上マーケティングを皆で手伝っただけで終わってしまいます。
京都市も書面で理解を求めたり世耕弘成経済産業相もツイートで反応したりと動き始めたようですが、国として抗議をするくらいのことだと思います。
商標登録されちゃいそうなの?kimonoって一般名詞としてアメリカでも定着しているから通らないんじゃないの?
例えばAppleやAmazonのように、一般名詞でも明らかに別ジャンルであれば商標登録は通ります。
彼女は以前からずっとKIMONOを商標登録の申請して拒否されているようで、それでもキモノ・ソリューションウェアのような形でしつこくグレーゾーンを狙ってきているようです。
今回の件も、被服についてはおそらく拒絶されるでしょうが、カバン類についてはKIMONOが商標登録されてしまうリスクがあること、
また、ランジェリー類についても「ランジェリーはkimonoとは全然特性が異なるので一般名称ではない」と主張しているので、下着も登録されてしまう可能性もあります。
詳しい内容は下記の記事が分かりやすいと思います。
【参考】
商標登録されたらどうなるの?
もし商標登録されてしまった場合、
たとえば、米国においてKIMONO Shopと看板やタグを付けて着物を販売している店で、合わせて下着やかばんも売っていた場合に、下着やかばん類を指定商品とした商標権を行使される可能性が出てきます。
呉服屋さんや着物のリサイクルショップでも、着物を着るのに必要な和装ブラや肌襦袢、長襦袢などの下着類は売っていますよね。和装バッグもあります。
また、着物のハギレを使ってリメイクしたバッグなどもKimono bagといった形で売れなくなるかもしれません。
【参考】
また実際にアメリカでは、昨年こう行った事件があったようです。
キム・カーダシアンが肌着をkimonoと呼び商標登録申請していますが、昨年はシカゴの白人男性が「アロハ・ポキ」を登録し、ハワイや他州で「アロハ」のつく名前の事業を営む人たちに片っ端から「使用をやめろ」と訴訟を脅す手紙を送っていた事件があったようです。https://t.co/pu0Loxferw
— 渡邉葉 (@YoWatShiinaEsq) 2019年6月27日
商標登録されなきゃいいの?
私は個人的には商標登録をしなくてもブランド名称の「kimono」を変えてほしいと思っています。
それは、キム・カーダシアンが日本の人口を超えるほどのフォロワーを持つ巨大なインフルエンサーだからです。
世界には、日本という小さな国があるということを知らない人がたくさんいます。
日本が描かれていない世界地図が普通に流通している国もあるのです。
ましてや着物(kimono)というのが日本の伝統衣装であることなど全く知らない人が多くいます。
その人たちが「kimono」という単語を知ったのがキム・カーダシアンの下着だったら、kimono=下着だと認識されてしまいます。
SNS時代のインフルエンサーの威力はとても強力です。
キム・カーダシアンは世界トップクラスのインフルエンサーですから、彼女が「私のプロデュースしたkimono、とっても素敵でしょ」と投稿するたびにkimono=下着だと認識する人が増えていくのです。
こうした言葉は定着するのが早いです。昭和の頃に「アマゾン」と言えば最初に連想するのは南米を流れる世界最大の川だったと思いますが、今はAmazon.comじゃないですか?
今時「アマゾンで本を買ったよ」と言って「アマゾン川まで行って本を買ってきたのか!地球の裏側まで行って大変だったね」なんて誰も思いません。
そういうことが「kimono」にも起こります。概念の書き換えです。
「ブラトップ」「ヌーブラ」と同じジャンルとして「kimono」が認識されてしまいます。
今までだって着物業界は何もしてなかったじゃないか。キム・カーダシアンではなくそっちに怒りを向ければ?
確かに着物業界自体が自分で衰退していった原因を作っているものも多いと思います。
でも彼女の影響力を考えると、着物業界に怒りを向けるより先に、「kimono」の名前をつけた下着ブランドに対して抗議するというアクションを取ることの方が先です。スピード勝負です。
Instagramの#kimonoのトップ画像はすでに下着になってしまいました。これがブレイクスルーしたら止められません。
また、私も全体を見渡せているわけではありませんが、この件で頑張って動いてくれているのは問題だらけの日本の着物業界をなんとかしたい!着物の良さをもっと知ってほしい!と思っている人が中心になって積極的に発信しているように見えます。
今まさに目の前で火事が起きている現場で「なんでスプリンクラーや消化器を設置してなかったのかしら?」なんてのんびり考えるより先に、消火活動や人命救助をするのが優先されるのと同じです。
もちろん、日本の着物業界にも大いに反省すべき点はあると思いますので、同様のことが今後起こらないように議論していくことは重要だと思います。
自分だって普段着物を着ているわけでもないくせに
確かに私は普段着物を着ていません。
でも、七五三、成人式、自分の結婚や友人の結婚を祝う時など、人生でも特別な時に着物を着てきました。
特別な時に着るとっておきの服の一つが着物なんです。そのくらい着物を大切に思っています。
「七五三や成人式などの人生の節目に着物を着てお祝いしたよ」と言って「そんな大事な場面で下着?日本人てクレイジーね、ヘンタイなのね」って思われたくありません。
この問題だけに限りませんが、大切に想っているものを侮辱したり雑に扱われたら怒っていいのです。どんな小さなものだって抗議していいんです。
「それは私の大切にしているものだから、大切に扱ってください」と伝えていいのです。
もう一つ思うのは、私の知人にもいますが、世界には着物を着て書道や日本舞踊、剣舞など、様々な日本文化を海外の皆さんに披露し、素晴らしさを伝えている人たちがいます。
世界中に日本料理屋さんもあります。
「kimonoを着て踊ります」「kimonoを着た人が美味しい天ぷらをサーブしてくれるお店です」と説明する時、
日本の伝統衣装である着物を連想されるか、下着を連想されるかで大きくイメージは異なります。
kimonoは衣類だけの問題ではなく、日本文化全体の問題だとなのです。
じゃあ、どうすればいいの?
まずは反対の気持ちを示すアクションをしましょう!
署名キャンペーン
以下のページは反対の署名キャンペーンです。こちらに署名することで、反対している人がこんなにたくさんいる、ということを示すことができます。
数は力です。
冷静に抗議の意思を可視化するためにも、ぜひ署名キャンペーンに協力していただければと思います。
Instagramへの抗議
また、キム・カーダシアン側のアクションを見ていると、下着ブランド「KIMONO」のInstagramアカウントにくる抗議コメントがどんどん削除されているようです。
ここに抗議コメントがくるのが一番ビジネスの邪魔ですからね。
なので、ここに抗議をし続けるのが一番このビジネスの邪魔をするためには効果があるのかもしれません。
最後に美しい着物も見てってくださいな
ここまで読んでいただいた方(いるのかな?)、お疲れ様でした。
長文にお付き合いいただきありがとうございます。
最後に、2020年に向けて進められている「着物プロジェクト」をご紹介します。
着物界が総力を挙げて世界各国をイメージした着物を作る着物プロジェクト。
世界よ、これが着物だ!
と言いたくなるような、美しいデザインと職人技の結晶です。
これは今回の騒動の話を抜きにしてもぜひ見てほしい。本当に素敵なデザインばかり!眼福です。
世界各国の文化・歴史・自然をテーマに制作されたオリジナルKIMONO(振袖・帯)の一覧がこちらから見られます。
インスタもあります。
ドイツ🇩🇪だったら振袖にバウハウス、クラシック音楽(ベートーヴェンの『月光』)、国花の矢車菊を歯車(重工業)。帯にバウムクーヘンやテディベアがいたりします。
着用すると帯揚げ帯締めなんかにも国旗カラーが使われていますね。
UAE🇦🇪の着物なら、着用時にはヒジャブ🧕を被り、帯も長めに結んで「女性が髪や体のラインを見せない」という文化的な配慮もしています。
こういう風に、それぞれの歴史や文化を踏まえて美しく昇華させるものづくりをし、失礼のないように配慮するのがリスペクトの表現だと私は思っています。
#kimono #KimOhNo #ChangeTheName